サルビニアククラータの育て方と増やし方|枯れる原因やビオトープ活用法まで初心者向けに解説
サルビニアククラータは水面に浮かぶサンショウモの仲間で、きれいな緑の葉が特徴です。この記事では、メダカやベタの飼育にも最適なサルビニアククラータの基本情報から室内・屋外での育て方、増やし方、よくある失敗例(枯れる・変色する・カビ発生)と対策、越冬方法、ビオトープでの活用術までを網羅しています。
目次
サルビニアククラータの基本情報
サルビニアククラータは、サンショウモの仲間で水面に浮かぶタイプの水草です。丸みを帯びた葉が水面に密集し、元気に育つと葉がフード状(フード=頭巾)に立ち上がる独特の形状を見せます。そのユニークで可愛らしい姿から、アクアリウム愛好家にも人気の高い浮き草です。まずは基本情報を押さえておきましょう。
- 学名:Salvinia cucullata
- 分類:サンショウモ科(サルビニア属)
- 原産地:インド~東南アジア、西オーストラリア
- 葉のサイズ:約1~2cm(小型の浮き草)
- 特徴:葉の表面に細かな毛があり水を弾く。状態が良いと葉が筒状に巻き込むように立ち上がる。根は水中に垂れ、長さは5cm程度。
- 耐寒性:弱い(熱帯性のため10℃以下では枯死する恐れ。冬は室内で管理)
- 耐暑性:強い(真夏の直射日光下では葉焼けで色褪せることがあるため要注意)
- 繁殖:極めて繁殖力旺盛で自然増殖する(増えすぎたら間引き・株分けする)


室内・屋外での育て方(光量・水流・温度・容器)
サルビニアククラータは強い光と暖かい水温を好む浮き草です。育成環境によって生長スピードや葉色が大きく変わるため、室内水槽と屋外ビオトープでのポイントを押さえましょう。
屋内水槽での育て方のポイント
- 照明(光量):水草育成用のLEDライトなど十分な光量の照明を8時間以上当てましょう。光が弱いと葉が平坦で葉が巻かない状態になり、色も薄くなりがちです。明るい環境を維持することで葉に立体感が出てきます。
- 水温:20~30℃が適温です。熱帯性のためヒーターで25℃前後に保つと通年元気に育ちます。水温が低いと光合成が鈍り、葉色がくすんで成長が止まります。冬場はヒーター必須です。
- 水流:できるだけ穏やかにします。外部フィルターなど水流が強いと浮草が水面をぐるぐる回ったりフィルターに巻き込まれないよう注意が必要です。水面に浮くリングや隔離枠を使い、浮き草エリアを区切ると良いでしょう。
- 容器・水槽:水槽にフタはしないことを推奨します。密閉すると湿度がこもり通気が悪くなり、葉にカビが生えやすくなるためです。小型水槽でも育成できますが、水面全体を覆うほど繁茂するので、増えた分は間引きましょう。CO₂添加は不要です。
屋外ビオトープでの育て方のポイント
- 日照:屋外では太陽光の下で非常によく育ちます。春から秋にかけては直射日光が当たる場所で問題ありません。ただし真夏の炎天下では強光と高温で葉焼け(葉が白っぽく色褪せる)を起こすことがあります。その際は簾(すだれ)を掛けるか半日陰に移動させ、直射を和らげましょう。
- 気温・水温:気温20℃以上の季節が生育適期です。日本では屋外では春~秋に元気に増えますが、秋が深まり気温が下がると成長が鈍り部分的に茶色くなります。夏場は35℃を超えるような猛暑でも水が蒸発しない限り耐えますが、水温が上がりすぎないよう適度な日陰を作ると安心です。小さな容器だと水温上昇が急なので注意します。
- 容器:睡蓮鉢やビオトープ用容器など直径20cm以上の広口容器が望ましいです。コーヒーカップ程度の極小容器でも育ちますが、水量が少ない分水温変化が激しくなるため管理が難しくなります。屋外飼育の場合はボウフラ対策のためメダカ等の生体と一緒に飼育すると良いでしょう(浮き草が日陰を作りメダカも快適になります)。フィルター無しでも大丈夫ですが、水質が悪化すると成長が鈍るため、適宜水替えしてください。

よくあるトラブル(枯れる・変色する・カビ)と対策
初心者が陥りやすい失敗として、「葉が茶色く変色して枯れてしまう」「葉に白いカビが生える」といった症状があります。原因を理解し適切に対処すれば、美しい状態を取り戻せます。
葉が枯れる・茶色く変色する原因と対処法
- 葉が部分的または全体的に茶色くなる場合:まず環境条件を見直しましょう。葉が全て元気を失って茶色く枯れている場合は、根本的に育成環境が不適切です。特に水温が低すぎたり光量不足だと成長が止まり葉色が悪くなります。対策としては水温を20℃以上に保ち、強めの光を当てることです。環境を改善すれば新しく展開する葉は緑色になります。
- 元気な葉が多い中で一部の葉だけが茶色くなる場合:環境自体は大きな問題はありません。茶色くなった葉は古く寿命を迎えた可能性があります。また、生長期で肥料不足になると一部の葉に栄養が行き渡らず変色することもあります。そのような場合は枯れた葉を摘み取り、液体肥料を少量追加して様子を見ましょう。一度茶色になった葉は元に戻らないため、トリミングして健康な葉だけ残すことがポイントです。
- 全体的に葉に立体感がなく平べったいまま部分的に茶色くなる場合:原因として水温が低め、日光(光量)が不足、水質悪化などが考えられます。気温が低い季節ならヒーターを入れたり、ビニール温室を作って保温するなどの対策が考えられます。水が濁っていたり、コケが発生している場合は水換えをしましょう。
葉に白カビが生えた場合の対処法
水槽で育成していると、サルビニアククラータの葉に白いカビのようなフワフワしたものが付着することがあります。これは水中のカビ(菌類)が枯れた葉などを栄養に繁殖したもので、特に通気が悪い環境で起こりがちです。発生した場合、取り出して流水で軽くこすればかなり落とせます。完全には取りきれない場合も、被害の広がった株は割り切って処分し、健康な株だけを残します。
再発防止には環境改善が有効です。先述のように照明を強化したり日光に当てると、植物自体が元気になりカビに負けにくくなります。また、水槽内の風通しを良くするためフタを外すか少し開けておき、蒸れを防ぎます。加えて、枯れかけの葉は放置せず早めに摘み取ることで、カビの養分となる有機物を減らせます。
美しい緑色に育てるコツ
元気なサルビニアククラータは鮮やかな緑色で厚みのある葉を展開します。きれいな緑を維持するためのポイントをまとめます。
十分な光量を確保する
繰り返しになりますが、光が弱いと色が悪くなります。屋外なら日なた、室内なら強めの照明で、明るい環境をキープしましょう。光不足だと葉が薄緑~黄緑に変色しやすいです。逆に光が足りていると濃い緑色になり、新葉も小さく締まった形になります。
適正な水温を維持する
水温が低いと光合成の効率が低下し緑も冴えなくなります。一年中綺麗に育てたい場合はヒーターで20℃以上を維持して下さい。特に冬場の室内水槽では水温15℃を下回らないよう注意します。
栄養のバランスをとる
浮き草ゆえ水中の窒素やリンをよく吸収します。魚やエビがいる環境ではフンや餌の残りから栄養を得られますが、栄養が極端に不足すると成長が止まり葉が白っぽくなります。その際は液体肥料を少量足してあげると効果的です。特に葉の色艶が良く成長が盛んな時期は肥料要求量も高くなるので、定期的な追肥でさらに元気に育ちます。ただし調子が悪い時に肥料を入れてもコケの原因になるだけなので控えましょう。
古い葉を除去(トリミング)する
枯れかけて茶色くなった葉は早めに取り除きます。放置するとカビの原因になるだけでなく、植物体自体も無駄なエネルギーを使ってしまいます。トリミングで常に新しく健康な葉だけ残すことで、見た目も美しく維持できます。ハサミで切るか指で摘み取ってOKです。
過密を避ける
水面を覆い尽くすほど増えると、葉が重なって光が届かず蒸れた状態になって葉色が悪くなります。常に水面の1/2~2/3程度を目安に浮き草が茂るよう調整しましょう。増えすぎたら他の容器に移すか、思い切って捨てても構いません。適度な密度を保つことで新陳代謝が促され、常に綺麗な緑色の葉が次々と出てきます。
増やし方・株分け方法と管理の注意点
簡単に増やせる!繁殖・株分けの方法
サルビニアククラータは特別な手を加えなくても勝手に爆殖すると言われるほど増えやすい水草です。葉と葉がランナー(匍匐茎)で繋がりながら横に広がっていき、定期的に自然分裂して株数が増えていきます。増やし方として難しいことはなく、環境を整えてあげれば勝手にどんどん増殖します。強いて言えば、より早く増やしたい場合は上述のとおり光量と水温を高めに維持し、成長期には適度に肥料を補うことくらいです。
ある程度株数が増えたら、株分けします。指やピンセットで数株つまんでそっと引き離せば簡単に分かれます。根が絡まるほど長く伸びる植物ではないので、ハサミで切るまでもなく手でちぎる感覚でOKです。株同士が離れてもそれぞれが独立した浮き草としてすぐ成長を再開します。増やしすぎて管理しきれなくなった場合は、メダカや熱帯魚と一緒に飼育している場合でも思い切って半分以上間引きしてしまって大丈夫です。その繁殖力ゆえ、一度に大量に捨ててもまたすぐ増えます。
増えすぎた時の管理&「巻かない」ための工夫
繁殖力が高いとはいえ、アオウキクサ(豆粒大の浮草)やホテイアオイのような爆発的増殖と比べれば、手に負えなくなるほど急激に増える心配は少ないでしょう。それでも環境が合えば確実に数は増えていくため、定期的な間引きは必要です。
- 水面を覆い尽くさせない:先述のとおり、浮き草が水面全てを覆う状態は避けます。週に一度は水面の様子をチェックし、増えすぎていたらネットや手ですくって除去しましょう。
- フィルターへの吸い込み防止:屋内水槽で濾過フィルターを使っている場合、増えすぎた浮草が吸水口に押し寄せて詰まることがあります。スポンジプレフィルターを付けたり、浮草を囲う浮き輪(フローティングリング)を設置して、フィルターに巻き込まないようにしましょう。水流の強い投げ込み式フィルターの場合は出水口の向きを変えて直接浮草に当たらないように調整します。
- 他の水草とのバランス:サルビニアククラータは根が長く伸びないため、小型水槽でも見通しを悪くしにくい利点があります。ただし、水草レイアウト水槽で水面を覆われると、水中の有茎草などに光が届かなくなる可能性があります。他の水草を育成中の場合は浮草の量を控えめにしましょう。
サルビニアククラータの越冬方法(冬の対策)
熱帯性の植物であるサルビニアククラータは寒さに非常に弱いため、日本の冬を屋外で越すのは困難です。関東以南でも屋外放置すればほぼ確実に枯死します。ただし工夫次第で翌年に持ち越すことも不可能ではありません。ここでは越冬(冬越し)対策について解説します。
- 基本は室内へ取り込む:気温が下がり20℃を切ってきたら、迷わず屋内の水槽や容器に避難させましょう。ヒーターで加温できる環境がベストです。室内でも窓際など冷え込む場所は避け、暖かい部屋で管理します。屋外の全てを移動できなくても、一部でも確保して室内に入れておけば春に増やす元手になります。
- 休眠・半休眠させる:室内に取り込んでも、冬場は日照不足で葉が薄く平らになることがあります。これは越冬中はある程度仕方がない現象です。冬の間は成長も緩慢になり、一時的に見た目が悪くなっても慌てず春を待ちましょう。冬季は休眠状態と割り切り、最低限の水替えを行って乗り切ります。一旦見た目は枯れたようになっても、暖かくなったとき復活する場合があります。
- 簡易温室の活用:どうしても屋内に置けない場合や室内でも寒い場合は、水槽ごとビニールで覆って簡易温室を作る方法があります。容器の上にラップを張るだけでも保温効果があります。ただし熱源がない真冬の夜などを、屋外で乗り切るのは厳しいでしょう。
- 断念して翌年再購入も一つの手:サルビニアククラータは比較的安価な水草で、通販でも数百円程度で入手可能です。冬越しは諦めて、翌年春にまた購入するという方法もあります。特に屋外ビオトープのみで管理しているケースでは、その割り切りもありでしょう。


メダカ・ベタとの相性とビオトープでの活用
メダカやベタとの相性は抜群で、サルビニアククラータは両者の飼育環境によく利用されます。浮き草としての利点が魚たちにも様々な良い影響を与えるからです。
- 水面の隠れ家・産卵床になる:メダカもベタも、水面付近に隠れ場所があると安心します。特にメダカは水面の天敵を警戒する習性があり(和名の由来が「目高」で水面上を見るため)、浮き草の下に身を寄せることでストレスが減ります。ベタも水面に浮かぶ葉陰で休んだり、オスは泡巣(バブルネスト)を作る際に浮き草をアンカーにします。実際、サルビニアククラータは「泡巣ベタの繁殖に最適」としてベタショップでも推奨されています。葉と根が産卵床となり、ベタやメダカが好んでその下に卵を産み付けることもしばしばです。
- 稚魚の餌が湧く:浮き草の根や茎の周りには微生物が繁殖しやすく、メダカやベタの稚魚の初期餌になります。サルビニアククラータの細かな根は特にインフゾリアの温床となり、繁殖水槽に入れておくと生まれたての稚魚が微生物をついばんで育ちやすくなります。人工飼料だけでは補えない栄養を自然に供給してくれる点でも、繁殖を狙う場合に有用です。
- 水質浄化効果:浮き草は水中の養分(窒素・リン)を吸収して成長するため、水質浄化に大いに貢献します。特にサルビニアククラータは成長が比較的早く繁殖力も高いので、水中の有機物をどんどん吸収し、水を綺麗に保ってくれます。メダカの飼育水は日光でコケやアオコが発生しやすいですが、本種を浮かべておくことで栄養分を競合吸収してくれるため、グリーンウォーター防止にも役立ちます。
- 水温調節と酸素供給:夏場は浮き草が水面に日陰を作り、水温上昇を和らげてくれます。反対に夜間は植物も呼吸するため酸素を消費しますが、適度な量なら水槽内のバランスに大きな悪影響はありません。むしろ光合成により日中は酸素を供給してくれるメリットがあります。ビオトープでは、浮き草があることで昼夜の水温変化が緩和されるとの報告もあります。

まとめ
サルビニアククラータは、小さな葉が織り成す可愛らしい見た目と、初心者でも育てやすいタフさを兼ね備えた浮き草です。強い光と適温さえ守ればグングン増え、水質浄化にも役立ってくれます。枯れたり茶色くなったりするのも環境を整え直せばリカバリー可能です。メダカやベタとの相性も良く、ビオトープから室内水槽まで幅広く活躍します。ぜひ本記事のポイントを参考に、サルビニアククラータ育成にチャレンジしてみてください。

他の初心者向け水草も見てみたい方は水草飼育図鑑をご覧ください。


