ウォータースプライトの育て方〜増やし方から枯れる原因、アメリカンとの違いまで解説〜

ウォータースプライトは丈夫で成長も早く、アクアリウム初心者でも手軽に育てられる人気の水草です。浮かべて育成することもでき、水質浄化にも一役買ってくれるため、メダカやグッピー水槽にもよく利用されています。一方で、「購入後に葉が溶けるように枯れてしまった…」「増えすぎて困る!」といった声もよく聞かれます。この記事では、ウォータースプライトの育て方や増やし方から、よくあるトラブルと対処法までを解説します。さらにアメリカン・ウォータースプライトとの違いもご紹介します。

ウォータースプライトの特徴と魅力

ウォータースプライトはシダの仲間で、日本では「ミズワラビ」とも呼ばれる水草です。東南アジアやアフリカなど世界の熱帯〜温帯域に広く分布し、水中から湿地まで適応しています。名前の由来は英語の“Water Sprite”=水の妖精で、その名の通りどこか幻想的で美しい姿が魅力です。その特徴と魅力を下記にまとめます。

  • 丸く繊細な葉姿が可愛らしい: 深い切れ込みが入った葉はまるで雪の結晶のようで、先端が少し丸みを帯びているため柔らかな印象です。スマートでシャープというより、ふんわり丸いシルエットで、水槽内に入れると一株でも存在感があります。
  • 大きく成長する後景向き水草: 環境が良いと30cm以上に大型化することもあります。幅広の葉を茂らせるため、レイアウト上は基本的に中景〜後景向きです。小型水槽では1株でも十分ですが、大型水槽なら数株まとめて植えてボリュームを出すこともできます。成長が早くすぐ水面に到達するため、後述するようにこまめなトリミングが必要になるでしょう。
  • 浮かべても土に植えても育つ: ウォータースプライト最大の特徴は、浮草のように水面に浮かせても育成できる点です。必ずしも底床に植えなくても生長するので、レイアウトの自由度が高く、ビオトープなどでも重宝されています。浮かべておくだけで根から養分を吸収し、フィルターのように水を浄化してくれる効果もあります。もちろん底床に植えて固定して育てることも可能で、その場合は後景を覆うようなダイナミックなレイアウトが楽しめます。

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アメリカン・ウォータースプライトとの違い

ウォータースプライトについて調べていると「アメリカン・ウォータースプライト」という名前を目にすることがあります。同じくミズワラビ科の近縁種で見た目もよく似ていますが、いくつか違いがあるので簡単に紹介します。

アメリカン・ウォータースプライト
  • 葉の形の違い: アメリカン・ウォータースプライトはウォータースプライトより葉の切れ込みがさらに深く細かいのが特徴です。より細かく複雑に裂けた葉は繊細で観賞価値が高く、ライトグリーンの色味も一段と明るい黄緑色になります。一方、ウォータースプライトは葉にやや丸みがあってボリュームがあり、こちらの方が柔らかい印象です。
  • 成長速度の違い: 育成環境にもよりますが、ウォータースプライトの方がアメリカンより成長が早いと感じます。どちらも十分丈夫で速く育つ水草ですが、よりグングン増えるのはウォータースプライトという声が多いです。逆に言えば、アメリカンスプライトの方が少し成長が穏やかなのでトリミング頻度が低めとも言えます。
  • 流通名の混在: お店によって、ウォータースプライトとしてアメリカン・ウォータースプライトが販売されているケースもあれば、そのまた逆のケースもあります。ショップでも半水中葉や水上葉の状態だと区別がつきにくく、誤表記になることもあるようです。ただ、育て方や必要な環境はほぼ同じといえます。

ウォータースプライトの育て方

ウォータースプライトは育成難易度が低く初心者向きの水草です。基本的な環境を整えればグングン成長します。ここでは、実際の育成ポイントを項目別に解説します。

水質・水温

  • 水質: 弱酸性〜中性を好みますが、ウォータースプライト自体は水質に対する適応力が高く、水道水でも比較的問題なく順応します​。極端にpHが高すぎたり硬水すぎたりしない限り、一般的な熱帯魚水槽の水質であれば特別な調整は不要です。ただし急激な水質変化には弱いため​、水換え時などはなるべく水温や水質の差が出ないよう注意しましょう。
  • 水温: 熱帯〜亜熱帯原産のため適温は22〜28℃前後です。日本の気候では屋内水槽であればヒーター無しでも室温が20度以上あれば育ちますが、冬場15℃を下回ると成長が止まり、枯れてしまうことがあります​。屋外ビオトープで育てる場合は冬に枯れて越冬できないので、冬季は屋内に取り込むようにしましょう。

光量・CO2

  • 光量: 中程度以上の光量があると葉を大きく広げて成長します。弱い照明下でも枯れはしませんが、成長が遅くなったり下葉が溶けやすくなる場合があります。60cm水槽なら2灯以上のLEDライトがあれば十分でしょう。なお、強すぎる直射光は葉焼けの原因になることがあります​。日焼けして茶色くなる場合は少しライトから距離をとるなどの調整をしてください。
  • CO2: 特に二酸化炭素(CO2)の添加がなくても育成できます。もちろん添加すれば成長スピードはさらに上がり葉も大きく育ちますが、初心者でCO2設備がない場合でも安心して育てられます。

底床と植え方

ウォータースプライトは浮かせたままでも育ちますが、レイアウトによっては底床(ソイルや砂利)に「植える」ことも可能です。植え方のコツを押さえておきましょう。なお水上葉を導入する場合、まずは浮かべて水中葉化させてから、底床に植えるようにします。

  • 浮かべて育成する場合: 浮かせた状態だと明るい光と空気中のCO2を利用できるので順応しやすく、根も水中に長く伸ばして栄養を吸収しやすくなります。浮いている姿は見た目にも涼しげで、水面を漂う葉は小魚の隠れ家や産卵床にもなります。ただし、成長が早いので放置すると水面を覆い尽くして他の水草に光が届かなくなることも​あります。適度に間引きしながら管理しましょう。
  • 底床に植える場合: 水中葉を底床に定植します。植え方は簡単で、根元を軽く底床に埋める程度でOKです。ポイントは茎や葉を埋めすぎないこと。根茎部分まで深く埋めると新芽が出にくくなるので、根だけをそっと砂利やソイルに押さえるように植え付けます。また、ウォータースプライトは茎が太くて折れやすいので​、植え込み作業は丁寧に扱いましょう。底床には栄養豊富なソイル(土)を使うと成長が良くなります​。砂利でも育ちますが、肥料分が少ないと葉が白化しやすいので、必要に応じて根元に固形肥料を埋めてあげると良いです。

養分管理と水質浄化効果

ウォータースプライトは成長の早さに比例するように栄養を多く消費します​。つまり、水中の窒素や養分をどんどん吸ってくれるため、コケの発生を抑制する効果があります。特にアンモニア態の窒素を好んで吸収する性質があり、立ち上げ初期の水槽でもアンモニアを減らしてくれるパイロットプランツとして優秀です。

一方で、水槽内の養分が極端に乏しくなると古い葉から黄色~白っぽく変色(白化)することがあります​。これは栄養不足のサインなので、その場合は水槽に液体肥料を少量添加したり、新しい栄養分豊富な水に換えると回復しやすいです。また、底床栄養が不足すると根から吸える養分が減るので、ソイルを使うか定期的に肥料を補うと良いでしょう。元気に育っているときは次々新芽が展開し鮮やかな緑色ですが、成長が鈍り葉色が薄くなってきたら栄養面をチェックしてみてください。

明るいライトグリーンの葉を広げるウォータースプライト。浮かべて育成することで、水面近くでも元気に成長している。

他の生体との相性

水草との相性: 基本的にどんな水草とも混植できますが、ウォータースプライト自体が大きくなり光を遮りがちなので、陰性水草(アヌビアスやシダ類)と組み合わせるか、他の有茎草と一緒に育てる場合はこまめに剪定してスペースと光量を確保してあげることが大切です。逆に浮草類(アマゾンフロッグピット等)とは役割がかぶるので一緒に入れる必要はないでしょう。

魚との相性: ウォータースプライトは小型魚やエビとの相性が抜群です。特にグッピーやメダカ水槽では定番の水草で、繁茂した葉の間は稚魚の隠れ家になります​。グッピーのようにフンが多めの魚とも相性が良く、先述の通りアンモニアを吸収して水をきれいに保ってくれます​。ただし、金魚やプレコなど草食性の強い魚は柔らかい新芽を食べてしまうことがあります。植食傾向の生体とは組み合わせに注意しましょう。

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ウォータースプライトの増やし方

ウォータースプライトは繁殖力が旺盛で、特別な手入れをしなくても自然と増えていきます。増やし方には大きく分けて次の二通りがあります。

  1. 子株を分離して増やす方法: ウォータースプライトの株元を見ると、複数の茎(株)がまとまっていることがあります。調子よく育っていると、新しい株が親株の根元に付いて株がどんどん密集していきます。これをそっと引き離すことで株分けが可能です​。株同士は根や茎が絡まっているだけなので、やさしくほぐせば簡単に分かれます。無理に引きちぎらず、ほぐしても離れない部分はハサミで切ると安全です。一度にたくさん増やしたいときや、混み合って調子を崩した株を分けてあげたいときに有効な方法です。
  2. 胞子から増やす方法: シダ植物であるウォータースプライトは、成熟すると葉の裏に胞子嚢(ほうしのう)ができることがあります​。胞子嚢から芽生えた小さな子株が葉に付いた状態で見えることもあり、その場合は葉ごと切り取って水面に浮かべておくと発芽した子株が成長します​。十分大きく育ったらそれを植えて新しい株にできます。

よくあるトラブルと対策

成長が早く丈夫なウォータースプライトですが、環境や扱いによってはトラブルが起こることもあります。ここでは枯れる・溶ける・変色・増えすぎなど、よく聞かれる問題とその対処法をまとめます。

購入直後に葉が枯れる・溶ける

水槽に入れて数日〜数週間で葉が茶色く変色し、溶けるように崩れてしまう。ひどい場合、茎だけ残って葉が全部なくなってしまう場合があります。

原因: ウォータースプライトに限らず、多くの水草はショップで水上葉または半水中葉の状態で販売されています​。水上で育った葉は水中ではうまく光合成できず、環境の変化に適応できずに枯れてしまうのです​。特に購入直後は水質も大きく変わるため、そのストレスで一時的に全ての葉が溶け落ちることがあります​。

対策: 水上葉が枯れても、茎や根が生きていれば新しい水中葉がまた生えてきます​。まずは慌てず様子を見ることが大事です。枯れた葉はコケの原因になるので取り除き、新芽が出るのを待ちましょう。また、前述したように購入直後はしばらく浮かべて慣らすことで枯れを軽減できます​。環境変化を緩やかにしてあげることで、「全部溶けてしまった…」という失敗を防げるでしょう。

葉が茶色く変色する

緑だった葉がだんだん茶色や黒っぽく変色して汚くなることがあります。

原因: まず、茶色くなった葉は一見「枯れた」ように思えますが、コケの付着や葉焼けの場合もあります​。立ち上げ初期の水槽では茶色の珪藻(茶ゴケ)が葉を覆いやすく、これが付くと全体が茶色く見えてしまいます​。また、水上葉が水中に沈んで光が強すぎると葉先が白茶けて日焼けすることがあります​。もちろん、本当に古い葉が枯れて茶色になるケースもあります。

対策: まず葉をよく観察し、表面にコケが生えているだけならエビやオトシンクルスなどコケ取り生体に掃除を手伝ってもらいましょう​。茶ゴケであれば水槽のバクテリアが安定すれば自然に消えるので、過剰に光を当てすぎないようにしつつ様子見でOKです。日焼けの場合は葉をカットして、今後はライトとの距離を離すなど配置を調整します​。枯れた葉に関しては放置しても新葉には戻らないため、トリミングして取り除いてください。その分新しい綺麗な葉が展開してきます。

葉が黄色や白っぽくなる

新しい葉が小さく色が薄い。全体的に黄緑〜黄色っぽくなり、ひどいと白っぽく透明になってしまう(白化)ことがあります。

原因: 肥料不足による栄養不足が考えられます​。ウォータースプライトは成長に伴って窒素や鉄分を大量に消費するため、特に何も添加せずに長期間飼育していると水中の栄養が枯渇してしまいます。栄養が足りないと葉緑素が減って黄色くなり、さらに不足すると葉が溶けるように透明になってしまいます。底床が砂利で肥料分ゼロの場合や、他に多くの水草が入っていて栄養競合している場合も不足しやすいです。

対策: 定期的な水換えで栄養を補給するほか、液体肥料を規定量よりやや控えめに添加して様子を見ましょう。肥料を与えすぎるとコケの原因になりますが、ウォータースプライトが旺盛に育っている状況なら多少添加してもコケより植物の成長に使われることが多いです。また、底床にソイルを使用していない場合は、根元付近に固形肥料(底床肥)を埋め込むのも効果的です。

増えすぎてレイアウトが崩れる

放っておいたら水槽中がウォータースプライトだらけに…。葉が水面を覆い、他の水草や照明を遮ってジャングル状態になることもあります。

原因: ウォータースプライトの成長速度が早すぎるがゆえの嬉しい悲鳴です​。環境が合うと次々に子株を出し、1株が2株、2株が4株…と指数的に増殖してしまいます。また浮かせている場合、あっという間に水面全体に広がり下の光景が見えなくなることもあります。

対策: 適度にトリミング(間引き)してあげましょう。基本的には茂りすぎた株を根元からハサミでカットします​。葉先や途中で切ると切り口が残って見栄えが悪いので、株の根元近くでカットするのがポイントです​。浮かせている場合は、適宜株を何株か別容器に移すか処分して量を減らします。水槽全体のバランスを見て定期的なメンテナンスを心がけましょう。

まとめ

ウォータースプライトは、その可憐な見た目とは裏腹に非常にタフで育てやすい水草です。初心者でもコツさえ押さえれば失敗なく増やしていけるでしょう。ポイントは「購入直後は浮かべて慣らす」「環境が合えばぐんぐん成長するので適度に間引く」「葉が溶けても新芽に期待して見守る」の三点です。水槽に緑のボリュームが欲しいとき、あるいはメダカやグッピーの産卵・隠れ家が欲しいとき、ぜひウォータースプライトを活用してみてください。

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