ミリオフィラムの育て方|ガイアナドワーフやオレンジなどの種類ごとの特徴から、CO2の必要性まで徹底紹介
ミリオフィラムは、羽のように細かく分かれた葉が特徴的で美しい水草です。育てやすく、レイアウト水槽では繊細な葉が水中で揺れる様子が映え、初心者にも人気があります。この記事では、ミリオフィラムの種類や育成方法、水中葉と水上葉の違い、そして枯れる・溶けるといったトラブル対策などについて詳しく解説します。
目次
ミリオフィラム属の概要と特徴
ミリオフィラム属(学名 Myriophyllum)は、熱帯から温帯にかけて広く分布する水草です。特徴はなんといっても糸状に細かく裂けた葉で、水中ではフサフサとした羽毛のような見た目になります。この繊細な葉のおかげで、水槽内に植えると密生しすぎずスッキリとした茂みを作れるため、レイアウトの後景や中景に最適です。水上葉では、上から見ると雪の結晶のようにも見えるほど美しい葉を持つ種類もあります。
ミリオフィラム属には様々な種があり、その中には水槽で古くから親しまれてきた種類もあれば、日本に自生する「フサモ」や、逆に外来種として問題視されるものもあります。総じて有茎草(茎を伸ばすタイプの水草)で、成長が比較的早いものが多く、環境が合えば次々と新芽を伸ばします。また多くの種類で水上と水中で葉の形が異なり、水上葉は緑色でしっかりした姿ですが、水中葉は柔らかく細かい葉に変化するという特徴があります。


よく流通するミリオフィラムの種類と違い
ミリオフィラム属の中でも、アクアリウムで定番となっている種類がいくつか存在します。それぞれ葉の色や大きさ、生長速度などに個性があり、育て方のコツも少々異なります。ここでは代表的な「ガイアナドワーフ」「オレンジ」「グリーン(水上葉で流通する一般種)」の特徴と違いを紹介します。
ミリオフィラムsp. ガイアナドワーフ
ガイアナドワーフ(学名未定、Myriophyllum sp. ‘Guyana’)はミリオフィラム属の中でも非常に小型の種類です。茎や葉の広がりが直径3cm程度に収まり、小型水槽でも群生させやすいのが魅力です。繊細な小さな黄緑色の葉をこんもり茂らせる姿は、中景草としても使いやすく、背が低くまとまりやすいため高さがあまりない水槽では後景草としても重宝します。
育成のポイントとしては高光量とCO2添加がほぼ必須です。他の丈夫なミリオフィラムよりもCO2要求量が高く、しっかり添加しないと茂りません。また肥料切れにも弱く、葉色が薄くなったら栄養不足のサインなので適宜追肥しましょう。一方で有機物や栄養塩が多すぎる環境も苦手です。立ち上げ直後で養分過多のソイルだと溶ける傾向があるため、新規水槽より成熟した水槽で育てた方が調子が良いでしょう。
ガイアナドワーフは他のミリオフィラムに比べるとやや繊細でコケ(藻類)が付きやすい一面もあります。環境が安定していないと苔に覆われてしまうことがあるため、照明時間の管理や、水槽のコケ対策も重要です。
オレンジ・ミリオフィラム
オレンジ・ミリオフィラム(Myriophyllum sp. ‘Roraima’)は、その名の通り鮮やかなオレンジ色の水中葉が目を引く人気種です。ショップでは水上葉の状態で流通していることが多いです。水中で育成すると茎が赤く色づき、葉も条件次第で明るいオレンジ色に発色して非常に美しくなります。細いオレンジの葉を真っ直ぐ水面に向けて伸ばすので後景向きですが、脇芽(わき芽)が少なく密生しにくいため、他の後景
草と混植しても圧迫感が出にくいという特徴があります。
オレンジミリオフィラムは環境の変化を嫌う繊細さがあります。購入直後に水槽へ植え替えると、根付く前に下葉が溶けてしまうことがあります。もし溶けてしまっても、状態の良い茎や頂芽を残して再度植え直せば再生することがあります。なるべく痛んでいない新鮮な株を入手し、植栽後はしばらく様子を見ると良いでしょう。
他の有茎草と比べ増殖スピードは遅めで、群生させるには1本よりもまとめて10本程度を束ねて植えると良いです。これは前述のとおり脇芽が出にくく単独では増えづらい性質のためで、まとまった本数を一箇所に植えることで寂しくならず見栄えする茂みになります。また周囲に成長の早い勢いの強い水草があると光や栄養の競争に負けやすいので、植える場所はできるだけ広めに確保しましょう。
光量・CO2についてはガイアナドワーフ同様に中〜高光量かつCO2添加が望ましいです。特に美しいオレンジ色を維持するには強めの照明と十分な二酸化炭素、そして鉄分などの栄養素といったバランスが大切です。

ミリオフィラム・マトグロッセンセ
ミリオフィラム・マトグロッセンセ(Myriophyllum mattogrossense)はミリオフィラムの代表的な緑色種です。茎や葉は柔らかなライトグリーンで、生長環境によっては頂部が赤く染まる個体もいます。ショップでは「グリーンミリオフィラム」等の名称で販売されることがあります。
グリーン系のミリオフィラムは総じて丈夫で育てやすく、初心者向きとされています。成長は非常に早く、多少CO2や肥料が不足してもすぐには枯れず、環境が不十分な水槽でも成長スピードが落ちる程度で踏みとどまることが多いです。ただし美しく茂らせるにはやはり十分な光量とCO2、そして栄養を与える方が望ましく、条件が整うと驚くほど旺盛に枝分かれし水面を覆うほどになります。
栄養面では、肥料切れには注意が必要です。特に根をよく張る水草なので、ソイルや砂利など底床に埋める固形肥料を定期的に差し込むと効果的です。液体肥料でも葉からある程度吸収しますが、窒素やリンを含む液肥はコケ(藻類)を誘発しやすいため扱いは慎重にした方が良いでしょう。
一方で光量が強すぎる場合は茎が匍匐(地を這うように横走り)しようとする傾向もあるため注意します。適度な明るさで放置するとすぐ水面に到達してしまうため、グリーンミリオフィラムは後景〜最後部に植えて高さを生かすのがおすすめです。

基本的な育て方(水中/水上育成のコツ・環境条件)
ミリオフィラムを元気に育てるには、水中育成の場合と水上育成の場合でポイントが少し異なります。それぞれのコツと、共通する環境条件について整理しましょう。
光量と照明
ミリオフィラムはいずれの種類も十分な光量があると色や生長速度が向上します。特にオレンジ系や赤系の発色には強めの光が必要です。光が弱いと間延び(茎が徒長してスカスカになる)しやすく、下葉も光不足で落ちやすくなります。ただし強光環境ではコケも生えやすくなるため、後述のCO2や栄養バランスも合わせて整えることが重要です。また、強光下では茎が匍匐したり水上へ飛び出そうとする場合もあるので、水位やトリミングで調整してください。
水質・水温
水質面では多くのミリオフィラムは弱酸性〜中性を好み、極端な高pHでなければ適応します。GH(硬度)も軟水〜中硬水で問題ありません。ただし水質悪化(富栄養化や老廃物蓄積)には弱いので定期的な水換えが大切です。最低でも週1回は水換えして常に水を新鮮に保ちましょう。
水温は20〜26℃前後が適温です。熱帯魚水槽では25℃前後に設定するケースが多く問題ありませんが、30℃を超える高温は要注意です。柔らかい葉がダメージを受け、最悪溶けてしまいます。反対に極端な低温(15℃以下)も光合成が停滞して苔に覆われやすくなるため、屋外越冬などは避け、冬場はヒーターで加温しましょう。
底床(土壌)
ミリオフィラムは根からも養分を吸収します。先述の通り根張りが良い種類では底床肥料が有効なので、栄養系ソイルや固形肥料を使うと成長が早まります。ただし栄養豊富なソイルは立ち上げ初期にアンモニア等が多く出てコケが発生しやすいため、新規セット直後は植え付けを少し待つか、植える場合はこまめに水換えして過剰な養分を抜きましょう。逆に、砂利や砂など栄養を持たない底床でも育成自体は可能ですが、その場合は水中肥料(液肥)や根元への固形肥料を追加してあげると良いです。初心者であれば、初期リスクの少ない吸着系ソイル+必要に応じ少量の追肥くらいが管理しやすいでしょう。
トリミング
ミリオフィラムは有茎草ですので、伸びすぎたら茎を途中でカットする「ピンチカット」と、上部を切って植え直す「差し戻し」でボリューム調整・増殖ができます。基本的には好きな高さで切り詰めればOKです。ガイアナドワーフなどは特に、ピンチカットを繰り返すと脇芽が増えてより茂みがボリュームアップする傾向があります。
水中育成のコツ
水上葉を購入直後に水槽へ植える際は、今まで水上葉だった部分が環境変化で溶けることが多いです。植栽前の下処理(傷んだ葉の除去など)を丁寧に行い、植え込んだ後1〜2週間は環境に慣らしましょう。照明・CO2・栄養を与えつつ、大きな水質変化は避け安定させるのがポイントです。根が出て活着すれば新しい水中葉を展開し始めます。また、密生させすぎないこともコツです。特にミリオフィラムは上に伸びやすく下葉が陰になりがちなので、初めは少し間隔をあけて植え、光が下部まで届くようにしましょう。成長して込み合ってきたら適宜トリミングし、カットした上部を差し戻して株数を増やすと、ふさふさとした茂みが作れます。
水上育成のコツ
ミリオフィラムは水上葉の状態でも栽培可能です。茎が水面から上に出ると、その先端は水上葉に形態を変えて成長します。水上葉は硬くしっかりした形で、雪の結晶のように美しい姿です。水上栽培する場合は常に根が水に浸かった状態を維持し、高湿度を保つことがポイントです。水上葉は直射日光下では乾燥しやすいので、屋内で明るい日陰〜半日照程度の場所が適しています。室内で鉢や水槽に植えてテラリウム風に楽しむのも良いでしょう。
CO2添加は必要?その効果とポイント
ミリオフィラムの育成でもCO2(二酸化炭素)添加は非常に有効です。
CO2添加の効果: CO2をしっかり供給することで光合成が活発になり、成長速度がアップします。例えばガイアナドワーフでは「CO2添加で密度高く分岐成長する」とされ、他の条件が同じでもCO2の有無で枝ぶりや葉の展開が大きく変わります。また葉色の向上も見込め、オレンジミリオフィラムなどではCO2不足下では黄色っぽく冴えない色だったのが、CO2添加と強光によって鮮やかな橙赤色に発色するといった例があります。逆にCO2不足だと成長が停滞し、その間に葉にコケが付きやすくなるため、結果的に調子を崩しやすいのです。
どの程度添加すべきか: 一般的な目安として、1秒間に1〜3滴程度のCO2を拡散器で添加する方法がとられます。水槽内の生体数が少ない場合は、水中CO2濃度が不足しがちなので積極的に添加を検討します。逆に生体が多い場合は、それらの呼吸でCO2がある程度供給されるため、添加量は控えめでもよいかもしれません。
CO2以外の注事項: CO2添加とセットで気を付けたいのがエアレーションです。夜間は水草も呼吸してCO2を発生します。昼間とのバランスを取るために、夜間はエアレーション(酸素供給)を行うと、生体の酸欠予防とpH安定に有効です。CO2添加ありの環境では、水質変化に敏感なミリオフィラムも安定しやすくなるでしょう。
ミリオフィラムが枯れる・溶ける原因と対処法
綺麗に育っていたミリオフィラムが突然枯れたり、溶ける現象は、初心者が直面しがちな問題です。原因を理解し適切に対処することで被害を最小限に抑えられます。主な原因と対処法を見ていきましょう。
- 原因1: 水質の悪化 – ミリオフィラム属は富栄養の古い水を嫌う傾向があります。水質が悪化すると下葉から溶けていくことが多いです。対処法としては定期的な水換えが第一です。最低週1回、調子が怪しい時は週2回以上、全体の1/3〜1/2程度の換水で水質をリセットしましょう。また肥料過多によるコケ発生が水質悪化を招くケースもあります。肥料添加は「多ければ良い」ではなく適量を心掛け、コケが出たら一旦肥料を中止して水換えでリセットすることが肝心です。
- 原因2: 光量不足 – ミリオフィラムは上へ上へと成長するため、放っておくと上のほうの葉の茂みが下の葉に光を遮ってしまうことがあります。下葉が光合成できなくなると次第にコケに覆われ、光合成能力がさらに落ちて溶け始めます。これを防ぐには適切なトリミングで高さを抑え、常に下部まで光が届く状態を維持することです。既に下葉がスカスカになってしまった場合は、元気な上部をカットして植え直せば復活させることもできます。また、照明を強化したり、角度を変えて光を当てる工夫も有効です。
- 原因3: 栄養不足 – 肥料切れもまた枯れる原因となります。ミリオフィラムは成長が遅くなる程度で踏みとどまる場合も多いですが、成長停滞によりコケに侵食されやすくなり、結果的に枯死につながります。新芽が白い、あるいは下葉に穴が開くといった症状が見られたら、液体肥料や底床肥料で不足要素(鉄・カリウムなど)を補給しましょう。ただし入れすぎも禁物です。
- 原因4: 水温不適(高温/低温) – 前述の通り、水温が高すぎたり低すぎたりすると調子を崩します。特に30℃以上の高温環境では溶けやすくなります。夏場はファンやクーラーで28℃以下に抑え、直射日光の当たる場所に水槽を置かないようにしましょう。逆にヒーター故障などで長時間15℃以下になると光合成が止まり、枯れてはいないもののコケに覆われて弱る場合があります。
対処法のまとめ: 上記のようにミリオフィラムが溶ける原因は様々ですが、共通するのは環境の急激な悪化や変化です。日頃から水換えとトリミングで良い環境を維持し、CO2や肥料も安定供給していれば、非常に丈夫でどんどん増えていく水草です。万一、部分的に溶けが発生した場合は早めに溶けた部分を取り除くことも大切です。腐った葉を放置すると隣接する健全な部分まで伝染するように広がるケースがあり得ます。見つけ次第カットして捨て、水換えでリセットしましょう。
特定外来種「オオフサモ」への注意点
ミリオフィラム属の話題で忘れてはならないのが、特定外来生物に指定されている種類の存在です。代表的なのはオオフサモで、かつて観賞用に輸入されたミリオフィラム属の一種です。南米原産で「パロットフェザー」とも呼ばれるこの水草は、観賞用ビオトープ等から日本各地の池や水路に逸出し、猛烈な繁殖力で在来生態系や農業用水路に被害を与えています。茎の断片からでも容易に発根・再生し、水田では稲の生育を妨げるほど繁茂するため、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されています。
こうした事情から、オオフサモは外来生物法により「特定外来生物」に指定され、飼育・栽培・譲渡・販売・運搬など一切が法律で禁止されています。現在ではショップで見かけることはありませんが、過去に購入した株や、似た姿の水草を誤って育ててしまうケースも考えられます。初心者の方は絶対に入手・栽培しないよう注意してください。また万一野外で見つけても勝手に持ち帰らず、自治体に連絡するなど適切な対応が求められます。
まとめ
ミリオフィラム属の水草は、その繊細で美しい見た目かミらアクアリウム初心者にも人気ですが、育成上のポイントを押さえることでより専門性の高い管理も楽しめる奥深い水草です。またレイアウトの名脇役にも主役にもなり得る万能選手ですので、ぜひ本記事の内容を参考にチャレンジしてみてください。


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