ブセファランドラが溶ける原因と対策:水上・水中の葉を復活させる方法
ブセファランドラはアクアリウムで人気の陰性水草ですが、葉や茎が「溶ける」現象に悩む初心者は少なくありません。導入したブセの葉が透明になって崩れたり、腐ったりする様子を見て、困り果てる方も多いでしょう。この記事では、ブセファランドラが溶けてしまう主な原因と、その対策・予防法について水中育成・水上育成の両面から解説します。また、溶けてしまったブセファランドラを復活させる方法やポイントも紹介します。
ブセファランドラの「溶け」とは?
ブセファランドラの「溶け」とは、葉や茎が透明になって崩れたり、溶けるように腐敗してしまう状態を指します。見た目には葉が溶けてなくなるように見えるため、このように表現されます。クリプトコリネなど他の水草でも似た現象がありますが、ブセファランドラも環境の変化に対してこのような症状を起こすことがあります。特に購入直後や環境を変えた直後に起こりやすく、大切に育てていた葉が突然なくなってしまうとショックですよね。
ブセファランドラは丈夫で育てやすいと言われる水草ですが、実際には環境変化によって葉が溶けやすい一面があります。しかし原因を正しく理解し対策することで、溶けを防いだり最小限に抑えたりすることが可能です。まずは主な原因から見ていきましょう。
ブセファランドラが溶ける主な原因
ブセファランドラの葉や茎が溶けてしまう背景には、さまざまな原因が考えられます。ここでは、水中育成・水上育成の両方で注意すべき代表的な原因を一つずつ解説します。
水質による溶け
水質の問題はブセファランドラの溶ける大きな原因です。特に立ち上げ直後の新規水槽や、水換え不足で水が劣化した水槽では注意が必要です。ブセファランドラはアンモニアなどに対して非常に敏感なため、新しく立ち上げたばかりの不安定な環境に非常に弱く、立ち上げ初期の水槽にいきなり入れると溶けてしまうことがよくあります。水槽立ち上げ時にバクテリアの定着による浄化サイクルができておらず高濃度のアンモニアが存在すると、ブセファランドラは耐えられずに溶けてしまうことが少なくありません。
また、長期間水換えを怠ったりフィルターが目詰まりしている水槽では水質の悪化が進み、有機物の蓄積や酸素不足によってブセが調子を崩し溶ける場合があります。ブセファランドラはゆっくり成長する分、ゴミが葉に溜まりやすくコケも付きやすいため、水質悪化の影響を受けやすい水草です。特に濾過バクテリアが少ない未成熟なフィルターでは、魚には問題ない程度の水質変化でもブセには負担となり得ます。十分に濾過の効いた安定した水環境で育成することが重要です。
組織培養カップから導入する場合の注意
最近では組織培養されたブセファランドラのカップ苗も市販されています。組織培養株は無菌かつ水上環境で育成されており非常に繊細です。特に立ち上げ直後の水槽にこれらを入れると、前述のアンモニアの影響で溶けやすいため注意が必要です。また、古い組織培養カップの苗は寒天培地が劣化し根が十分発達していないことがあり、そうした苗は環境変化に対応できずに溶けてしまう可能性が高まります。購入時には寒天が変色していない新鮮なカップを選び、植える際は寒天をしっかり洗い落としてから水槽に導入しましょう。


水温・気温による溶け
水温・気温の高すぎ、低すぎが原因でブセが溶けることがあります。原産国のイメージから、温かい気候を好むイメージの強いブセファランドラですが、適温は18~26℃程度と意外と涼しい環境が適しています。30度近い温度では溶けてしまうことが多いため注意しましょう。もちろん、低すぎる温度も枯れの原因となりますので水中葉、水上葉ともに適温を維持するようにしてください。
また、水温・気温の急激な上下も溶ける原因になります。
- 冬場に冷たい水を急に大量に入れた場合
- 夏場に高温の水槽に冷たい水を一気に入れた場合
- 季節の変わり目で急激に気温が下がった場合(秋〜冬の冷え込み)
- エアコンや暖房器具を消した際の急激な室温低下や、つけた際の急激な上昇
このようなケースでは、翌日にはブセの葉が黒っぽく変色したり透明になり、ドロドロと溶け出すことがあります。年間を通じて安定した水温・気温で管理することが重要です。
過剰な肥料投入や強すぎる光ダメージによる溶け
肥料の過剰投入もブセファランドラには危険です。ブセファランドラは自生地の特性を踏まえると、栄養がほとんど必要ない水草と言っても過言ではありません。用土や飼育水の富栄養は避けるべきです。水中葉の場合は吸着系のソイル、水上葉の場合は礫などを使用するのがおすすめです。栄養系のソイルや用土を使用したり、元気がないからといって追肥したりすると、あっという間に茎や根元が溶けて腐ってしまうことがありますので注意しましょう。
同様に、強すぎる照明もストレスになります。ブセファランドラは陰性(水槽内では弱めの光を好む)水草で、強光下ではコケが付きやすくなるだけでなく、植物自体も光量に適応できず成長が止まって弱ってしまう場合があります。水中葉では特にCO2無添加で強光を当てると、光合成の需要に環境が追いつかず調子を崩しやすいです。水上葉では強光を当て続けると茎が垂れさがったり、葉焼けを起こしたりします。最終的には枯れてしまい、葉が茶色く溶けるように崩れることもあり得ます。
照明は基本的に低~中光量で十分です。照明からの距離にも気を付けましょう。いずれにせよ、弱っているブセに強い光を当てることは避け、少し暗めの環境で静かに回復を待つ方が良い結果に繋がります。
水流の停滞(止水域)・酸素不足による溶け
水中葉では、水流が全くない環境もブセファランドラには好ましくありません。水が淀んでしまうと、葉の周りにゴミなどが溜まりやすく腐敗の原因になります。特に底床のソイル内などで局所的に止水域ができると、急に溶け出すことがあります。ただし、水流は強すぎてもいけません。激しい流れに直接さらされると物理的なダメージでストレスを与える可能性があります。あくまで穏やかな水流で水が循環し、淀みができない程度にとどめてください。適度な水流は、葉に新鮮な水と栄養を届け、老廃物を運び去ってくれるので、ブセの溶け防止にも有効です。
また、水流と関連して酸素不足にも注意です。高水温や過密飼育、水槽の密閉度が高い場合などで水中の溶存酸素が不足すると、植物も根腐れや溶けを起こしやすくなります。特に水上栽培ではフタをして湿度を保ちますが、通気が悪いとカビが発生したり根の酸欠で葉が溶ける原因になります。適度な換気や腰水のエアレーションも環境によっては検討しましょう。
乾燥・過湿による葉の溶け
特に水上葉で溶けの原因になるのが、湿度管理の問題です。ブセファランドラは乾燥に弱く、一定の湿度を保つ必要がありますが、実は「乾燥」と「過湿」の両極端な環境も葉が溶ける大きな原因となります。
乾燥がもたらす溶け
水上栽培をする場合、湿度が低すぎるブセの葉がカラカラに乾燥し、急激に萎れたり溶けたりすることがあります。
特に注意したいのが、
- 室内管理で冬場の暖房や夏場のエアコンなど、空調機器による乾燥
- 通気を意識しすぎて湿度が一時的に下がり過ぎる場合
- 密閉ケースのフタの締め忘れや隙間による湿度低下
などの状況です。湿度が常時70~90%程度を保てるよう、密閉ケース内に湿らせた水苔を敷いたり、湿度計を設置して環境を管理することが重要です。
過湿がもたらす溶け
一方で、湿度が高すぎる状態(過湿)も葉を溶かします。特に水上栽培で完全に密閉された容器の通気が悪い場合に、葉の表面に水滴が長時間付着したままとなり、その結果として葉が腐敗するように溶ける現象が起きます。
過湿の状態では、
- 容器内が完全密閉され、通気が全くない状態
- 容器内の水滴が常に葉に付着している状態(結露が頻繁に発生するなど)
- 高温多湿な環境下で長期間放置される場合
などが典型的なケースです。過湿による溶けは、葉の表面がベタつき、暗色化してから急速に腐敗が広がります。
過湿を防ぐためには、定期的にケースを開けて換気を行うほか、湿度が極端に上がりすぎないようケース内に溜まった水滴を拭き取ったり、適度に空気が動く環境を作る工夫が必要です。
植え付けの問題や物理的ストレスによる溶け
ブセファランドラの植え付け方法を誤ると、物理的ストレスから溶けが発生することがあります。代表的なのは、根茎(いわゆる「芋」部分)をソイルに埋めてしまうケースです。ブセファランドラはアヌビアスなどと同様に根茎を水中に露出させた状態で活着させる植物です。しかし初心者の中には他の草と同じように根元まで土に埋め込んでしまう方もいます。根茎を埋めるとその部分の通水・通気性が悪くなり腐敗しやすいため、結果的に株全体の溶け(根腐れ)につながります。ソイルで育成する場合でも根茎は埋め込まず、軽く表面に載せるか露出させておきましょう。
また、流木や石にブセを固定する際にビニタイや糸を強く巻きすぎるのもNGです。締め付けがきついとその部分の組織が傷み、時間とともにそこから腐って溶けてしまうことがあります。固定は株が動かない程度にゆるく行い、根茎や茎を過度に締め付けないようにします。
その他、物理的なダメージ(トリミング時のミスや、生体による齧り、引っこ抜き事故など)で傷ついた部分から腐敗が広がるケースもあります。特に水上栽培では、ある株の腐った葉が隣の株に触れると溶けが伝染してしまうことも報告されています。物理的に傷んだ葉や茎は早めに取り除いて、腐敗が拡大しないようにすることが大切です。
CO2不足・栄養不足による生長停滞による溶け
ブセファランドラは基本的にCO2無添加でも育成可能な水草とされていますが、CO2が全くない環境では成長が極めて遅く、新環境への適応に時間がかかります。その結果、適応が追いつかず古い葉が次々溶けてしまうことがあります。特に明るい照明環境下ではCO2不足が顕著になるため、陰性水草だからといって油断せずバランスを取ることが大切です。
また栄養が全くない状態が続くと、葉が白く溶けていく場合があります。前述の通り、栄養については過多も厳禁です。ブセファランドラは成長が遅いぶん控えめな栄養管理でも維持できるため、うまくバランスを見極める必要があります。
環境の急激な変化による溶け
最後に、環境変化のストレスによる溶けについてです。特に、水上葉から水中葉への移行時は注意が必要です。例えば、ショップや生産者で水上育成されたブセファランドラは、新しく水槽に入れた際にそれまでの水上葉が水中環境に適応できず溶けてしまうことが多いです。これは水中の環境に合わせて新しい葉を出すために古い葉を犠牲にする適応プロセスだと考えましょう。
また、逆に水中育成株を水上(陸上栽培)に切り替えた場合も、古い葉が新しい環境に耐えられず溶け込むように枯れることがあります。いずれの場合も、急激な水質・水温・湿度の変化が植物に大きな負荷を与える点が共通しています。ブセファランドラは水質の変化・悪化に敏感なので、環境移行はできるだけ緩やかに行うことが理想的です。
私の経験では、水中葉を水上化する際には、湿度を高く保つことで古い葉を維持できることも多いです。

品種による適応性の違い
ブセファランドラは非常に多くの種類が存在し、中には環境変化に極端に弱い種類もあります。例えば、小型種の中には自生地でも常に水中にあるもの
溶けさせないための対策・予防法
上記の原因を踏まえれば、ブセファランドラの溶けは予防できます。以下に、溶けを防ぐための具体的な対策をポイントごとにまとめます。
- 水槽導入は慎重に行う: 購入したブセファランドラは、できれば水槽立ち上げ直後の不安定な環境へいきなり入れないようにしましょう。他の水草で水質を安定させた後や、ろ過が成熟してから導入すると安全です。どうしても新規水槽に入れる場合は、頻繁な水換えでアンモニアを除去するなど水質管理を徹底します。
- 環境変化は緩やかに: 水上葉の株を水中に沈めるときは、一度に長時間の照明を当てすぎない・CO2添加を少し増やすなど、徐々に水中環境に慣らす工夫をします。逆に水中→水上の場合も、高湿度を維持して葉が乾燥しないよう注意しましょう(フタをしっかり閉めて腰水管理をする等)。急激な温度変化も避け、霧吹き時は水温を合わせるのが基本です。
- CO2や栄養はバランス良く: CO2無添加でも育成可能ですが、できれば少量のCO2添加を検討しましょう。成長が促進され環境適応がスムーズになります。ただし、CO2過多になったり添加を急に止めたりするとストレスになる可能性もあるため、一定量を継続することが大事です。栄養は基本与えませんが、不足かなと感じたら様子を見ながら少しずつ追加するようにしましょう。
- 照明とコケ管理: ブセファランドラは強光を必要としません。明るすぎる照明はストレスになるだけでなく、水中葉ではコケの発生を招き、葉に付着したコケが光合成を妨げて弱らせたり、コケ除去の際に葉を傷つけたりと悪循環になります。照明は適度な強さ・照射時間に留め、コケ対策としてヤマトヌマエビなどを導入するのも有効です。ただしコケ取り生体がブセの新芽を食害することもあるので、状況に応じて数を調整してください。
- 水流・濾過の確保: フィルターのろ材は定期的に掃除しつつバクテリア層を維持し、常に水質がクリーンで安定するように努めます。また、ブセの周囲に適度な水流を当てて淀みを防ぎましょう。デッドスポット(水の流れがない場所)ができないよう、水流ポンプの角度を調整したりしてみてください。
- 植え付けとハンドリング: ブセファランドラは根茎を埋めないのが鉄則です。底砂に植える場合も根茎部分は外に出し、根だけ軽く埋める程度にします。流木や石へ活着させる際も、テグスや糸で軽く固定し、強く縛り付けないように注意します。植え付け作業中に葉や根を傷つけないよう丁寧に扱いましょう。腐りかけの葉があれば早めにカットしておくことで、そこから菌が繁殖するのを防げます。

溶けたブセファランドラを復活させるには
もしブセファランドラが溶けてしまっても、適切な対処を行えば復活できる可能性があります。葉がほとんど溶け落ちても茎(根茎部分)が生きていれば新芽が出て再生したケースは少なくありません。諦めずに以下の手順を試してみましょう。
- 溶けた部分の除去: まず、腐って溶けてしまった葉や茎はできるだけ早く取り除きます。溶けた組織を放置すると水を汚し、他の健康な部分に腐敗が伝染する恐れがあります。柔らかく崩れる葉はピンセットやハサミで優しく取り去り、浮遊している破片も可能な範囲で吸い出しましょう。水上葉管理中に溶けが出た場合も、他の株に触れないよう枯れた葉をすぐに切り取ります。
- 環境の見直し&安定化: 次に、なぜ溶けたのか原因を振り返り、環境を改善します。水質悪化が疑われるなら直ちに水換えを行い、フィルターや水流をチェックします。水温変化やCO2不足が原因なら、ゆっくり水温を適正値に戻す・CO2添加を再開するなどの対応を取りましょう。重要なのは環境をコロコロ変えすぎないことです。パラメータを安定させつつ、ブセにとって一番状態の良い環境を維持します。もし同じ水槽の他の水草や生体が元気なら、その環境自体は問題ない可能性が高いので、焦って大幅な設定変更をしない方がかえって良いです。
- 他の水槽や水上・水中栽培でリカバリー: 溶けが止まらない場合や、環境自体に不安がある場合は、思い切って環境を変えてリカバリーする手もあります。例えば、調子の良い別の飼育環境があるなら溶けかけたブセをそちらに移動させてみます。実績上、一番状態の良い水槽へ移すと回復するケースは多いです。それでもダメな場合は、水中葉を水上栽培に切り替え、湿度の高い容器で新芽が出るのを狙う方法もあります。逆に、水上栽培中に溶けが止まらなくなった場合は一度水中に沈めてみると溶けが収まることがあります。いずれも植物にとってリスクは伴いますが、何もしないで全て溶けてしまうよりは試してみる価値があります。
- 清掃生体の活用: 水槽内で溶けた場合、ヤマトヌマエビや貝類などを入れておくと、溶けた組織をせっせと食べて掃除してくれます。ブセの溶けた部分を食べて腐敗の進行が止まり、新芽が出始めて復活することがあります。すでに水槽にレッドビーシュリンプ等がいる場合は、人手で無理に取ろうとせず彼らに任せるのも一案です。ただし、生体がいない場合は無理に新規導入するより、人が丁寧に除去すれば問題ありません。
- 追肥や照明は控えめに: 溶けて弱っている段階で、「もっと栄養を与えれば復活するかも」と肥料を追加投入するのは逆効果です。吸収できない栄養が余計に腐敗を招きかねません。むしろ一時的に肥料の追加は控え、光量も弱めに抑えてあげる方が回復しやすいです。弱っている植物は直射日光より木陰で休ませる方が良い、というイメージで、ブセも静かに環境に慣らしながら新芽の展開を待ちましょう。
- 新芽の確認と経過観察: 上記の対処を行ったら、あとは溶けが止まるか、新しい芽が出てくるか様子を見る段階です。根茎(茎)がしっかり残っていれば、早ければ1~2週間ほどで小さな新芽が顔を出すことがあります。新芽が出れば回復の兆しですので、焦らず成長を見守ります。一方、根茎まで完全に溶けてドロドロになってしまった場合は残念ながら復活は難しいです。その場合は原因を検証しつつ、別の元気な株に切り替えて再挑戦する方が早いかもしれません。
以上がブセファランドラが溶けてしまった際の対処法です。特に「茎(根茎)が残っていれば復活できる可能性が高い」という点は希望になります。実際、高価なブセを溶かしてしまった方でも、根茎だけになったものを捨てずに管理した結果、新芽が出て見事復活したという例も多いです。ブセファランドラは個人的に飼育は簡単ではありませんが、生命力は強い植物だと思います。
まとめ
ブセファランドラの葉が溶ける原因は、環境変化によるストレス、水質の悪化、栄養・CO2バランスの乱れ、物理的ストレスなど多岐にわたりますが、いずれも適切な対策で予防可能です。日頃から環境を安定させ、急激な変化を避けることが最大のポイントと言えるでしょう。それでも溶けてしまった場合も、今回紹介した方法で落ち着いて対処すれば、ブセファランドラが復活する望みは十分にあります。
ブセファランドラは一度適応してしまえば比較的広い水質に耐え、CO2無添加でも育成可能な丈夫さも持ち合わせています。溶けの原因と対処法を理解しておけば怖がる必要はありません。ぜひブセファランドラの育成にチャレンジして、その魅力を楽しんでください。


なお、ブセファランドラの種類別の特徴や詳しい育成方法については、ブセファランドラ飼育図鑑も参考にしてください。


