ブセファランドラ グリーンベルベットの育て方|特徴から溶ける原因と対策、水上葉と水中葉の違いまで解説
目次
ブセファランドラ・グリーンベルベットとは?
ブセファランドラ・グリーンベルベットは、ボルネオ島原産のサトイモ科の水草「ブセファランドラ」の一種です。類似した名前に「グリーンブルーベルベット」といったバリエーションが存在し、それぞれ葉の色味に違いがあります。グリーンベルベット自体はアクアフルール社から養殖株が多く出回っており、比較的入手しやすい代表的なブセファランドラです。丈夫で環境適応力も高いため、ブセファランドラの中では初心者にも育てやすい種類と言えます。


グリーンベルベットの特徴
グリーンベルベット(Bucephalandra sp. Green Velvet)最大の魅力は、その葉の質感と形状にあります。葉は長さ5cm前後の細長い楕円形で、縁(ふち)に力強い波打つようなウェーブが入ります。葉表面には非常に細かなラメ状の輝きがあり、滑らかでシルキーな光沢を放ちます。新芽はやや赤茶色を帯びますが、成長に伴って緑色が濃くなり、明るいグリーンの葉へと変化します。水中で古い葉は経時でやや褐色がかってくることもありますが、それでも細かなラメが入るため光の下では美しく映えます。
葉のサイズはブセファランドラ属の中では中型程度で、高さはせいぜい5~10cm程度に収まります。成長速度は非常にゆっくりですが、環境さえ安定していれば溶けや枯れにも比較的強い丈夫さも兼ね備えています。しっかり活着して環境に馴染めば、長期にわたり少しずつ新芽を展開し続けるでしょう。
グリーンベルベットの育て方
水温・水質・環境
適温はおおよそ20〜28℃の範囲で、熱帯魚水槽と同程度の水温・水質で育成可能です。極端な高温や低温でなければ問題ありません。水質は弱酸性〜中性(pH6〜7前後)、軟水〜中程度の硬度を好む傾向があります。原産地の川の水は軟水で落ち葉などによるタンニンが含まれることも多いため、水槽内でも弱酸性寄り・低硬度の環境を維持できるとより調子が良いでしょう。
水流に関しては、過度に淀んだ環境より、適度な水の動きがあった方が良好です。ただし強い水流が直接葉に当たるとコケの発生につながる場合もあるため、全体に水が循環する程度のやさしい流れを作ってあげるとよいでしょう。いずれにせよ清潔な水を好むため、定期的な換水によって水質を維持することが健康に育てるコツです。
照明とCO2
ブセファランドラは陰性水草ですので、強い光を当てる必要はありません。照明は弱〜中程度の明るさで十分育成できます。むしろ光量が強すぎる環境では調子を崩し、葉焼けを起こしたり展開が悪くなったりすることがあります。過剰な照明を避けることでコケの発生も抑制できます。
CO2については、添加なしでも十分育成可能です。ただし、CO2を少量でも添加した方が成長促進効果が期待できます。CO2無添加で育てる際は、水質を弱酸性の軟水に保ち、富栄養状態にしないといった管理を心がけると良いでしょう。
植え付け・レイアウト
グリーンベルベット(ブセファランドラ)は釣り糸や水槽用接着剤などを利用して、流木や石に固定して活着させるのがおすすめです。ソイルなどの底床に植えて育てる場合は、根茎を埋めてしまうと腐る恐れがあるため浅く植え付けましょう。
レイアウトでは中景に活用されることが多いです。やや葉が大きめで存在感があるため、小型水槽であれば1株でも主役級になります。複数株を岩に活着させて群生させれば、中〜大型水槽の中景を彩るアクセントとしても映えるでしょう。高さはあまり出ませんが、根茎が縦方向にも伸びる傾向があり、成長とともにボリュームが増していきます。そのため、将来的な生長スペースも考慮して活着させる位置や向きを決めるとよいです。
日常管理とメンテナンス
前述の通り成長は非常にゆっくりなので、日常の管理は比較的手間がかかりません。しかし成長が遅い分、葉にコケが付きやすい点には注意が必要です。綺麗な状態を保つために、以下のコケ対策をおすすめします。
- コケ取り生体を導入する – ヤマトヌマエビやオトシンクルスなど、ブセファランドラを食害しない淡水生体を一緒に飼育し、葉に付いた藻類を常食させます。
- 定期的な換水を行う – 水を清浄に保つことでコケの栄養源となる富栄養化を防ぎます。特に小型水槽では週1〜2回程度の換水が望ましいでしょう。
- 照明を適切な明るさに調整する – 強すぎるライトはコケの発生を促します。必要最低限の明るさで管理し、照度が高すぎる場合は点灯時間を短くするなど調整します。
- 水槽を直射日光に当てない – 太陽光が当たる場所に水槽を置くと急激なコケ繁茂の原因になります。設置場所にも注意しましょう。
コケ以外のトラブルとしては、急激な環境変化や悪化による「溶け」が挙げられます。水温の急変や極端な水質変化、無理な株分けで根茎を傷つけることなどがあると、グリーンベルベットに限らずブセファランドラ類は葉が透明になって崩れる「溶け」を起こすことがあります。溶けた部分は元に戻らないため、日頃から極力ストレスの少ない環境を維持することが肝心です。ヒーターや冷却ファンで水温を安定させ、添加物の急な投入(過剰な肥料や薬品など)も避けましょう。
トリミングは基本的に不要ですが、古い葉が傷んだ場合は株元からハサミで切り取ってください。黄ばんだ葉やコケまみれの葉は早めに除去することで、新芽に養分を回せます。同様に、増えすぎて茂みが重たくなった場合は株分けによる間引きを検討します。とはいえ成長が遅いため、頻繁にトリミングする必要はなく、基本は観察とコケ取り中心のメンテナンスで十分でしょう。
水中葉と水上葉の違い
ブセファランドラ・グリーンベルベットは、多くのブセファランドラと同様に水中葉・水上葉の両方の形態で育成できます。環境さえ整えれば、ガラス容器やテラリウム内で水上栽培することも可能です。水上葉と水中葉では見た目にいくつか違いが見られます。
一般的に水上葉は厚みがあり、葉色がやや濃くなる傾向があります。グリーンベルベットの場合、水上で育てると深い緑色の葉色になり、葉の縁のウェーブも水中より強くはっきり現れます。

一方、水中葉は新芽こそ赤茶を帯びますが、その後は明るめの緑色で成長し、環境によっては徐々に褐色味を帯びることがあります。ただしグリーンベルベットは水上・水中で葉姿の差が少ない種類とも言われており、水中葉でも水上葉でも同じような雰囲気の葉を楽しめます。
増やし方
グリーンベルベットは株分けによって増やすのが一般的です。ブセファランドラはいずれも種から殖やすことは難しく、市販株も採集やクローン株がほとんどのため、家庭では成長した株を分割して増殖します。
やり方はシンプルで、十分に成長した根茎を清潔なハサミでカットし、切り分けた株をそれぞれ新たな石や流木に活着させれば完了です。ただし闇雲に切ると失敗するため、いくつかコツがあります。
- 十分に成長してから分けること – 根茎に複数の芽(生長点)が出て、葉もそれなりについてから切り分けます。小さすぎるうちに分割すると、株が体力を失い溶けてしまうことがあります。
- 根付きの部分でカットすること – 切り離す側の株にちゃんと根が出ていることを確認します。根が全く無い状態だと活着までに時間がかかり、その間に調子を崩す恐れがあります。
- 株を傷つけないよう清潔に – 根茎をカットする際は切れ味の良いハサミやカッターを使い、素早く切ります。何度も刃を当てると周囲の組織が潰れて腐敗の原因になるため、一度でスパッと切り離しましょう。作業前に器具をアルコール消毒しておくとベストです。
以上の点に気をつければ、株分け自体は比較的簡単です。切り離した株は、最初の植え付け時と同様に糸や接着剤で石・流木に固定しておけば、1〜2ヶ月ほどで新しい根が張り付いて活着します。成長がゆっくりなぶん増殖のペースも遅いですが、気長に管理すれば徐々に株数を増やしていくことができるでしょう。
レイアウトでの活用例
グリーンベルベットはその鮮やかな緑色と独特な葉姿から、アクアリウムレイアウトにも人気の水草です。他の水草にはない質感を持つため、配置するだけでワンポイントのアクセントになります。特に中景のポイントとして、石や流木に付けてレイアウトすると渓流の水辺に群生する自然な情景を再現できます。
単体でも存在感がありますが、複数株をまとわせるように活着させれば茂み状になり、より目を引くレイアウト効果が得られます。弱光でも育つ特性を活かして、他の水草が育ちにくい陰になった場所にも配置可能です。水草レイアウトでは明暗のコントラストが重要ですが、グリーンベルベットは陰影部分でも元気に育つため、レイアウトの奥行きや立体感を演出するのにも役立つでしょう。
また、水中レイアウトだけでなく水上レイアウトでも活用できます。パルダリウムでは陸地部分の岩肌に植えて苔と合わせ、滝壺周りの雰囲気を作るといったレイアウトも可能です。
グリーンウェービーとの違い
「グリーンウェービー」(Bucephalandra sp. Green Wavy)は、名前が似ていますがグリーンベルベットとは別の品種です。混同されやすいですが、それぞれ特徴が微妙に異なります。
グリーンウェービーはその名の通り葉のウェーブがはっきり表れる種類で、葉色は新芽から終始鮮やかな明るい緑色を保ったまま成長します。葉の形状は丸みを帯びており、サイズはおおよそ3cm程度とグリーンベルベットよりひと回り小型です。また、流通量が多く入手しやすいメジャーな品種でもあり、ブセファランドラ入門種として育成される方が多いようです。
一方のグリーンベルベットは、葉がより細長く強いウェーブを持ちます。ウェーブの形状自体はどちらも目立ちますが、ベルベットの方が葉にシルキーな光沢が顕著である点が特徴と言えます。また新芽に赤みが差すことがあり、成長すると深みのある緑色に変化する点もグリーンウェービーとの違いです。
いずれにせよ、グリーンベルベットもグリーンウェービーも魅力的なブセファランドラです。購入時には混同しないようラベルを確認し、それぞれの特徴に合ったレイアウトを楽しんでみてください。
まとめ
ブセファランドラ・グリーンベルベットは、美しいベルベット状の光沢と波打つ細長い葉が魅力の水草です。成長はゆっくりですが、その分手間がかからず初心者にも育てやすい丈夫な種類と言えます。初めてブセファランドラを育てる方にもおすすめの一種ですので、その唯一無二の質感と存在感をぜひ水槽レイアウトに取り入れてみてください。


なお、ブセファランドラの種類別の特徴や詳しい育成方法については、ブセファランドラ飼育図鑑も参考にしてください。


