ブセファランドラ・スケルトンキング(キシィ)の魅力と育て方|黒葉と緑葉の違いも解説

ブセファランドラ・スケルトンキング(Bucephalandra sp. “Skeleton King”)は、ボルネオ島原産のブセファランドラの一種です。葉に浮き出る葉脈模様が“スケルトン”を思わせることからこのユニークな名称がついています。一株数千円~、場合によっては一万円以上と高価な品種です。本記事ではスケルトンキングの特徴や育て方のコツを解説します。

スケルトンキングの特徴

名前の由来: スケルトンキングには様々な名称があります。学名は「Bucephalandra kishii」で、岸井氏(きしい氏)が発見したことから名前に因んで命名されたとのことです。そのほか「カユラピス2」、「アキレウス(アキレス)」、「キシィ」と呼ばれることもあります。スケルトンキングという呼び名は葉脈模様が骸骨(Skeleton)のように見えることと、その迫力ある姿から来た愛称です。一度聞いたら忘れないインパクトのある名前で、ブセ愛好家の間でも人気があります。

大型ブセファランドラ: スケルトンキングはブセファランドラの中でも葉が大きめの中〜大型種です。茎は太めで赤みを帯び、しっかりした印象の株姿になります。

葉脈がはっきり見える葉: 名称の由来にもなっているように、一目で分かるほど葉脈がくっきり浮き出る厚手の葉が最大の特徴です。葉の表面には光沢があり、光の加減で青や紫がかった虹色の輝きも見られます。

葉色のバリエーション: スケルトンキングの葉色には黒っぽいダーク・ブラックタイプ(黒葉)と緑色のグリーンタイプ(緑葉)が存在し、流通時にも「ブラック」「グリーン」などフォームで区別されることがあります。同じ株でも育成環境や個体差で葉色が変化する場合があります。

葉形の違い: 葉の形も細長いものと丸みのあるものがあり、これも個体差や環境による変化とされています。いずれにせよ、厚みのある質感と浮き出る葉脈という特徴は共通しています。

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ブセファランドラ・スケルトンキングの育て方

スケルトンキングは一般的なブセファランドラとは異なり、水中栽培には難しさが伴う種といわれます。水中化に失敗するケースが多いため、水上育成が無難とも言われます。他のブセファランドラが水中で容易に維持・増殖できるのに対し、スケルトンキングだけは水中葉の育成難易度がワンランク高いと考えておきましょう。ここでは主に水上葉での飼育方法を解説します。

湿度

スケルトンキングの水上葉は、80~90%の高湿度を保つことが必須です。常湿では乾燥して枯れてしまいます。一方で湿度100%の常にびちゃびちゃの環境でも、溶けてしまいやすいです。蓋で密閉し適度に通気するか、少し隙間を開けて調整するようにしましょう。

温度

20~26℃程度を維持するのがおすすめです。特に高温には弱く、30℃を超えるような暑さでは溶けのリスクが高まります。極端な高温・低温、急激な気温変化を避けるよう、エアコンなどで管理しましょう。

用土

水はけがよく、栄養が少ない礫などが適しています。赤玉土でもよいですが、泥にならない硬質なものをよく洗って使用しましょう。水苔を保湿の目的で使用するのは良いですが、根に直接まいて水分過多にすると、根腐れの危険があるので注意が必要です。

腰水

腰水の有無や高さは人によって異なります。私は腰水無しか、鉢を浮かせて鉢底に水が当たらないようにしています。スケルトンキングはとくに根腐れしやすいように感じます。

光量

強光を好む水草ではないため、低~中程度の光量で十分です。しかし水上葉でも、新芽促進のために適度な光があった方が良いでしょう。アクアリウム用のLEDライトを当てるだけでも十分です。

酸素

腰水にエアレーションを行う人もいます。根腐れは根の酸欠によるものが多いので、根に酸素を供給するのはおすすめです。また週に1回程度、通水を行うのも効果的だといえます。

水上葉から水中葉への挑戦

スケルトンキングを水上育成から水中育成に切り替える際に、失敗を減らし成功率を上げるためのテクニックを考察します。

  • 複数株に分けてリスク分散: 元株が大きい場合、いきなり全部を水中にせず株分けして一部だけ水中化に挑戦する方法があります。十分育った親株から子株(脇芽)が出るまで待って、それを切り離して使うのが安全です。小さな株ほど成長がさらに遅くリスクも高まるため、焦らず親株を大きく育ててからトリミングしましょう。株分け直後は環境を変えない・傷口を清潔に保つなど細心の注意を払い、親株は水上、子株を水中と分けて管理すれば最悪全滅は避けられます。
  • 段階的な水位調整: 前述の「半水上」栽培の応用ですが、必ずしも一気に完全水没させなくても構いません。パルダリウム的な環境で徐々に水位を上げていき、水上葉と水中葉の両方を付けた状態でしばらく維持する方法もあります。
  • 活着先の工夫: 植え付け方法にもコツがあります。スケルトンキングはできれば流木や石に活着させて育て、水中では直接底床に埋め込まない方が良いです。どうしても植える場合は根茎が見えるくらい浅植えにしてください。
  • 古い葉の扱い: 移行途中で古い水上葉が溶けてきても慌てないことが重要です。溶けたり穴の開いた葉は元に戻らないので、他に健康な葉が充分ある場合は早めに取り除き株元の負担を減らします。一方、残り少ない葉まで全て取ってしまうと逆効果です。葉数が少ない場合や新芽がまだ出ていない段階では、たとえボロボロでも残しておく方が良いでしょう。完全に溶け落ちてしまった場合でも、根茎が生きていれば数ヶ月後に芽吹く可能性があります。腐っていない緑の茎部分が残っていれば、諦めず根気強く待ってください。
  • 導入タイミング: 水槽の立ち上げ初期(バクテリアが安定せず水質変動が大きい時期)にスケルトンキングを投入するのは避けた方が無難です。水質が安定し硝酸塩やコケが落ち着いてからの方が成功率は上がります。具体的には、水槽セットから1~2ヶ月経って他の水草も根付いた頃合いが理想でしょう。

注意すべきトラブルと対策

スケルトンキングのトラブル事例とその対処法をまとめます。先に述べた内容と一部重複しますが、大切なポイントのおさらいとしてご活用ください。

  • 葉が溶ける/枯れる: 水中移行時や環境不調時に葉が崩れる「溶け」が発生することがあります。水中移行時の場合は、水上葉が水中葉に切り替わる際に避けられない現象です。そのほか、根腐れ、細菌、過湿、蒸れ、葉の水滴など様々な原因があります。溶けや枯れが発生した際には、真因を追求し、適切な対応を行う必要があります。
  • ピシウム菌: ブセファランドラの最大の敵とも言われるのがピシウム菌です。透明な蜘蛛の巣状の菌糸が出始めたら要注意で、放置するとわずか数日のうちに株全体や底床表面を覆い、葉がポロポロ落ち茎まで溶かします。対策としては、とにかく早期発見・初期対応が重要です。初期の段階(葉と葉の間に糸が少し見える程度)なら、毎日通水・換水とケースの換気で撃退できます。進行がひどい場合は、被害部分の切除や底床リセットが必要になります。茎葉ごと腐った箇所はスパッと切り落とし、まだ無事な部分を救出しましょう。
  • 葉の穴あき: スケルトンキングの葉に小さな穴が空くことがあります。輸送中の損傷や、葉の水滴による蒸れ、あるいは栄養不足などが考えられます。一度穴が空いてしまった葉は元には戻りませんので、あまりに酷く、またほかの葉がたくさん付いている場合には切除しても構いません。

調子を崩したあとのスケルトンキングは「新芽が小さくなる」?

ブセファランドラ・スケルトンキングは、環境変化や植え直しなどのストレスを受けた際に、次に出る新芽が明らかに小さくなる傾向があります。これは他のブセファランドラでも共通して見られる現象ですが、スケルトンキングのような中〜大型種では特に目立ちやすいです。

ストレス後に出てくる「小さな葉」

  • 購入後の植え替えなど移行直後
  • トリミングや株分けの直後
  • 温度や湿度の急変のあと

このような「リセットに近い変化」のあとに展開する新芽は、通常の葉よりも一回り以上小さく、薄く、色も淡いことがあります。これは植物が環境に適応するために最低限の成長に抑えている、いわば「回復モード」に入っているサインです。

小型化したまま戻らない場合のチェックリスト

一方で、長期間にわたって葉が小さいまま戻らない場合、以下の原因が考えられます:

  • 肥料不足
  • 環境の不安定さ
  • 根のダメージ
  • 光量不足または強すぎ

こうした環境ストレスが長引いていると、株がエネルギーを蓄えることができず、小型化が定着してしまいます。

元のサイズに戻すには?

  • まずは環境を安定させることが最優先です。水質・温度・光・流れ・肥料の各条件を急激に変えないよう意識してください。
  • そのうえで、新芽が再び大きくなり始めるまで気長に観察しましょう。復調には最低でも1〜2ヶ月は必要です。
  • 栄養補給する場合は、ごく少量から徐々に与えるのがポイントです。栄養過多はコケや根腐れの原因となります。

ブセファランドラ・スケルトンキングの葉のタイプ

スケルトンキングには、葉が黒っぽい個体と明るい緑色の個体が存在します。これらはブラックタイプ(フォーム)、グリーンタイプ(フォーム)として区別されて流通することがあります。また、葉の形も丸っぽい個体と、葉先がとがった個体が存在します。自分の好みの個体を厳選する楽しみがあるのも、スケルトンキングの魅力といえるでしょう。

黒葉(ブラックタイプ・フォーム)の特徴

  • 全体的に黒に近い深緑~紫がかった色味で、葉に光沢感が強く出やすい
  • 葉脈も黒っぽく、全体的に重厚感

緑葉(グリーンタイプ・フォーム)の特徴

  • 明るめの緑色で、葉脈はやや柔らかいコントラスト
  • 水上葉では緑が強く、水中育成で少しずつ濃くなる傾向

丸葉の特徴

  • 涙型の柔らかい印象
  • 葉幅が広くボリュームが出やすい

とがった葉の特徴

  • シャープでかっこいい印象
  • これぞ王道のスケルトンキングという存在感

どれを選べばいいのか?

見た目の違い以外に育て方や丈夫さに大きな差はありません。印象としては以下の組み合わせが相性が良いです。

  • ブラックタイプ&とがった葉→スケルトンキング王道のイメージ、とてもかっこいい
  • グリーンタイプ&とがった葉→シャープで目立つ、こちらもかっこいい
  • ブラックタイプ&丸葉→落ち着いて重厚感がある、これもかっこいい

結論としてはいずれも魅力的なので、育成環境での変化を楽しむ前提で複数株持つのもおすすめです。

まとめ

ブセファランドラ・スケルトンキングは、その独特で美しい葉を鑑賞できる人気の水草です。基本的には水上葉での飼育が、失敗なくうまくいきやすいです。葉のタイプも分かれており、コレクション性が高いのも人気の理由でしょう。ブセファランドラ特有の飼育ポイントがあるので、この記事を参考にして、ぜひスケルトンキングの育成に挑戦してみてください。

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なお、ブセファランドラの種類別の特徴や詳しい育成方法については、ブセファランドラ飼育図鑑も参考にしてください。

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