浮き草が枯れる・黄色くなる原因と栄養の関係性|きれいに維持する方法をビオトープに特化して解説
浮き草が黄色くなる・枯れる原因は、水温や光量などの外部環境のほかに、窒素・カリウム・鉄など「栄養バランス」にもあります。特に浮き草は一般的な水草と違い、葉からも栄養を吸収するため、栄養素に影響されやすいと言えます。本記事では、あまり語られない水草の不調と栄養の関係性について、浮き草(ビオトープ)に特化して解説します。
※品種ごとの育て方や、外部環境については水草図鑑で解説しています。
目次
【結論】まずは3ポイントを確認・実践しよう
ビオトープや水槽で、水温や光量などの条件はあっているはずなのに、「葉が黄色く変色する」、「調子が悪い」。そのような時は、浮き草に必要な栄養が不足しているのかもしれません。まずはポイントを簡潔に押さえます。
- ポイント①:窒素(N)と鉄(Fe)不足を同時に疑う。
黄色化・成長停滞の8割はN不足、若葉が白っぽい・葉脈残りの黄化はFe不足が絡みます。 - ポイント②:生体が少ない・新規立ち上げ・雨水多めのビオトープは液肥添加を検討する。
魚のフン=栄養の供給源が少ない環境は、液肥でベースを補うのが近道になることがあります。 - ポイント③:少量高頻度が正解。
液肥は一度にドバッと入れず、少量×週2~3回の頻度でコケを防ぎつつ「常に栄養がある水」を作ります。

浮き草が必要とする栄養と役割
アマゾンフロッグピット、サルビニアククラータ、ホテイアオイ等の浮き草は、水面で強い光を受け、成長速度が速い=栄養要求も高いのが特徴です。
- 窒素(N): 葉色・体積を決める“元気の源”です。
- リン(P): エネルギーに関係します。
- カリウム(K): 細胞に関係します。
- 鉄(Fe): 葉緑素に関係します。
- マグネシウム(Mg)他微量要素: 葉緑素に関係します。
浮き草に特化した栄養設計
一般水草との違い
浮き草(アマゾンフロッグピット、サルビニア、ホテイアオイ等)は、底床からゆっくり吸う一般的な沈水系水草と違い、水中根と葉面から素早く栄養を取り込みます。水面直下で強い光を浴びるため成長速度が速く、結果として新芽が頻繁に出て、栄養消費が早いのが特徴です。
液肥添加は「少量×高頻度」
栄養素は屋内水槽の水換えや、屋外ビオトープの降雨で一気に薄まります。成長の速さとも相まって、濃い液肥をドバッと入れるよりも、薄めを切らさず与える「少量×高頻度」(週2~3回)が合理的です。
必要栄養の優先順位と不足サイン
・窒素(N)
浮き草では最優先です。株全体がライム色~薄黄、縮む・小型化していると不足のサインです。低生体・新規立ち上げは特に枯渇しやすいと言えます。
・カリウム(K)
ピンホール(小穴)、葉縁のギザギザ、局所的な痛みがあると不足のサインです。ビオトープでは特に不足しやすい栄養素です。
・鉄(Fe/キレート)
新芽が白っぽい黄緑、葉脈だけ残る黄化し始めると不足のサインです。こちらもビオトープでは不足しやすいです。微量を高頻度で。入れ過ぎより“切らさない”方が効果的です。
・マグネシウム(Mg)・微量群(Mn/B など)
古葉の葉脈残り黄化、まばらな奇形が見えると不足のサインです。総合液肥に含まれる量で十分と言えます。
・リン(P)
極端な不足で伸びが鈍ります。給餌が多い水槽や生体多め環境ではNとともに自然供給されやすい傾向にあります。
環境・種別の微調整
・アマゾンフロッグピット:N・Kの手当てに素直に反応します。葉の綺麗さに加え、根が長く白いほど好調と言えます。
・サルビニア:Feへの反応が早いです。新芽の色抜けに即応しましょう。
・ホテイアオイ:体積が大きくN消費が顕著です。雨後は追肥で調子が戻りやすいです。
・低生体/新規立ち上げ:液肥でベースを作りましょう。優先順位通り、まずN・K、次にFeです。
・生体多め:N・Pは餌で賄われやすいです。不足しやすいKとFe中心が苔も出にくく、おすすめです。
やりがちな誤解とNG運用
・鉄だけ入れれば発色がよくなる→主犯がNのことも多いです。
・コケ=液肥が悪い→一度に入れすぎか、照明過多が原因のことも多いです。
・家庭園芸用の肥料を使用→適切な栄養素、濃度が異なります。コケ発生にもつながります。
症状別逆引きトラブルシュート表
| 症状 | 主因候補 | 補因・見分け方 | 対策の優先順 |
|---|---|---|---|
| 全体が黄色い/薄い | 窒素不足 | 古葉から均一に黄化 | Nを補給+少量頻回、給餌を少し増やす |
| 新芽が黄緑〜白ぽい | 鉄不足 | 葉脈は残ることが多い | キレート鉄を微量追加 |
| 葉にピンホール | カリウム不足 | 葉縁が痛む | K単独補給または総合液肥増量 |
| 伸びない/小型化 | 栄養総不足・光過多 | 根が短い、水流強すぎ | 栄養底上げ+水流を弱める |
| 急に溶ける/枯れる | 温度急変・薬剤 | 夏のポスト放置等 | 温度管理・回収スピード/換水 |
液肥の選び方とNG例
選び方の軸
- 窒素をきちんと含む
- Feはキレート鉄
- カリウム充実
- 少量頻回投与に向く濃度設計
NG例
- 一回で大量添加
- 家庭園芸用肥料を代用
- 栄養素を見ずに適当に選定
ビオトープにおすすめの液肥とは
液肥や肥料には用途に応じて様々な種類があります。水草専用でも、栄養素によって結果が変わることが理解できたかと思います。
これまでの情報から、ビオトープや浮き草にピッタリの液肥について考察してみます。
- 水面直下で光量が高く消費が速い→NとKをややリッチに。(Nは比較的供給されやすいため、バランス調整)
- 発芽が早い新芽の色抜け対策→キレートFeを安定供給。
- コケを抑えつつ、早い成長速度に対応→少量・高頻度投与。
- 美しい葉を保つ→微量要素(Mg・Mn・B 等)を含む。
- 初心者にも簡単、安全設計→計量がラクなボトル設計
よくある質問(FAQ)
Q. 魚の数が多いときも液肥は必要?
A. 餌・フンでNやPは賄われがちですが、KやFeは不足しやすいため、少量の総合液肥が安定です。
Q. 黄色い葉は切ったほうがよい?
A. 回復しない古葉はトリム推奨です。 新芽に栄養を回します。
Q. コケが出たらやめるべき?
A. 回数キープ、1回量を半分が基本です。照明時間と給餌も合わせて最適化します。


